第42回(11/13) 〜初雪 前半〜   毎週月曜更新

なみ「みんなー!!起きて起きて!!外見てよー!!きゃー!!」
アキラ「なんやなんや・・・うるさいな・・・・まだ・・・6時やないか・・・。もうちょっと寝かせろや・・・・むにゃむにゃ・・・。」
なみ「もう、アキラ起きてよ!!外見てよ・・・雪よ雪!!きゃーー!きれいー!ほら、早く起きてってば!」
おさむ「うん・・・・。どうしたの・・・朝っぱらからアキラの部屋で・・・?」
なみ「ホラ窓の外を見てみて・・・雪よ・・・初雪!!」
おさむ「うわ〜ホントだ・・・。すっごくきれい・・・。昨晩は本当に冷えこんでたもんね〜。初雪か・・・・。アキラは全然興味なさそうだね・・・・。」
なみ「もう・・・どうして・・?早く起きて外に行こうよ・・・・。」
アキラ「むにゃむにゃ・・・なんでや・・・?そんなに雪がめずらしいんか?去年もみたやろ・・・。ただ単に気温がマイナス0°以下やから、雨が雪になっただけやないか・・・。それだけや・・・・ほなおやすみ・・・むにゃむにゃ・・・。」
おさむ「こりゃだめだね・・・。アキラほっといて・・・・どうしたのなみちゃん・・?」
なみ「ムカッ・・。そんな感動のないようなことを言う奴には・・・こうだ!!」
・・・バサ・・・
アキラ「うわー!!さむ!!布団返せ!!こらなみ!!」
なみ「へへーんだ、返して欲しけりゃここまでおいでーだ。」
・・・ダダダダダダ・・・
アキラ「なんやあのあま!!おさむ・・・頼む助けてくれ・・・なみから布団取り返してくれ・・・寒くて死にそうや・・・・。」
おさむ「アキラもそろそろ起きたら?いつも、起きるのぎりぎりなんだから、今日くらいゆっくり朝ご飯を楽しみなよ・・。」
アキラ「裏切り者ーー!!もうええ・・・・。」
・・・ゴソゴソゴソ・・・
おさむ「だめだこりゃ・・・・。」
・・・外・・・
なみ「きゃ!きゃ!うわ〜冷たーい・・・。あ、おさむこっちこっち、雪だるま造ろ!!で・・・アキラは・・・?」
おさむ「うん・・・シーツを布団代わりにしてまた寝ちゃった・・・・。」
なみ「はあ〜仕方ないな・・・・。じゃあ、二人で雪だるまを造ろ!!」
おさむ「うん!そうだね!」
なみ「よいっしょ・・よいっしょ!」
・・・30分後・・・
なみ「このバケツを乗せて・・・かんせーーい!!パチパチパチ。」
おさむ「ふ〜疲れた・・・。汗がでてきちゃったよ・・・。雪だるまか・・・何年ぶりだろ造ったの・・・?小学生の時、グランドで造った気がする・・・・。なみちゃんは・・・うん・・・どうしたの?」
なみ「・・・雪だるまか・・・・。」(つづく)

第43回(11/20) 〜初雪 後半〜   毎週月曜更新

おさむ「雪だるま・・・・?」
なみ「うん・・・雪だるま・・・・。この時期にはねいつも思い出すんだ〜、なみが小学生だった頃を・・・。まだ、雪にはちょっと早い時期にね、一人の転校生が来たんだ・・。なみはその時学級員をしてたから、上手くクラスにとけ込んでくれるか心配だったけど、とっても明るくてね、全然そんな心配する必要なかったんだ。はじめのうちは校内を案内して上げたり、町のことを教えて上げたりして・・・。いつも笑顔で勉強もスポーツもできて・・・当然女の子達は興味津々だったわよ。」
おさむ「もしかして、なみちゃんの初恋の人とか・・・?」
なみ「ブー!違いまーす。しいていうと、なみはキューピットかな。なみの大の親友がね、その子と結婚したい〜なんて言い出して・・フフフフ・・・。」
おさむ「ハハハハ・・・小学生の頃ってそんなもんだよね・・(笑)。」
なみ「そうそう、それでね2ヶ月くらい経ったのかな・・・冬休みの1週間くらい前・・友達となみがね、その転校生に家に遊びに行っていい?って聞いたんだ。じゃあ・・・」
おさむ「じゃあ・・?」
なみ「ごめん、今日忙しいから・・・とか言われて・・・。それじゃあ、いつがいいの?って聞いたら”ちょっとわからないな〜”って・・・。」
おさむ「少しさみしいね・・・。」
なみ「うん、友達は今にも泣きそうな顔でね・・・でも、小学生の頃ってそんなものよね・・・。結局、いい返事はもらえなかったんだけど、なみたちは内緒で家に行こうって話しになって。終業式が終わった後、友達と一緒にその子をつけたんだ。手編みのマフラーを持ってね。」
おさむ「手編みのマフラーか・・・それで・・?」
なみ「二人でドキドキしながら、30分くらい歩いたかな・・・。とっても細い路地を曲がったところで彼の姿が消えたの。二人とも呆然となっちゃって・・・なぜかというとね、そこにはとってもとっても小さな平屋があって・・・お世辞でも、いい家とはいえなかったな・・。彼の家がそれだったの。呆然としていると、家の中から”おじさんをきちんと手伝うんだよー”っていうお母さんらしい人の声が聞こえて。そしたら、彼が急に”わかってるよー”とかいいながら、ものすごい勢いで玄関から出てきて、自転車に乗って猛スピードで行っちゃったんだ。電柱にあわてて隠れたから、その時は見つからなかったんだけど・・・。あまり家が裕福じゃなかったみたいで、朝晩と新聞配達を手伝ってたらしんだ・・・。それから、待つことなんと5時間・・日もすっかり暮れちゃって。なみはすごく帰りたかったんだけど、友達がどうしても今日渡したいって。冬休みになったらチャンスがないもんって・・・。でも、そろそろ家の人も心配するからって帰ろって言った時に、彼が戻ってきたの。」
おさむ「うん、それでそれで。」
なみ「私たちの姿に気づいた彼は、ちょっとはずかしいそうに、”ヨッ!”って。それでね、どうなったと思う!!なみの友達ね、5時間も待ったのに、”これ”って渡して走っていっちゃったんだよ!たった一言だけだよ!」
おさむ「フフフフフ・・・そんなもんじゃないかな・・?」
なみ「えー!そうなの・・・?まあいいや・・それでなみもどうしていいかわからなかったから、バイバイだけ言ってすぐに友達を追いかけたんだ・・・・。その後、なみは彼女に、どうしてもっと話さないの!って言おうとしたの。でも言えなかったのよね〜。彼女の顔を見るとね・・・なんていったらいいんだろうね・・・とにかく、こっちまでも幸せになるような笑顔で”やったー!”って。」
おさむ「くぅ〜!いいな〜!」
なみ「それでね、それから数日後、、当たり一面が初雪で覆われた朝、彼女が家を訪ねてきたの。片手に小さな雪だるまと手紙をもって。彼女は何も言わず手紙を差し出したのね・・なみもなにも言わずに、手紙を読んだの。その後1時間くらい二人は、玄関の外でずっと雪だるまを見てたの。そしたらね・・・だんだんと雪だるまが溶けてきちゃって・・・。なんかなみも友達もとっても悲しくなってきちゃって・・・二人でわんわん泣いたわ・・・。手紙にはマフラーありがとう。プレゼントは買えないけど、いっぱいお小遣いたまったらきっと買うから・・約束ね。それと、急に引っ越しが決まって、さよならは言えなかったけど、落ち着いたら必ず手紙出すからって・・・ポストの上に雪だるまと手紙が置いてあったの・・・。」
おさむ「う〜ん・・・悲しい恋・・だね・・・・。」
なみ「フフフ・・・そう思う??ところがね・・・話には続きがあって、彼が引っ越しした後、手紙のやりとりをしてたのよ。それでね、最近彼女からきたメールに、この春結婚しまーすって・・・もちろんその子とだよ。」
おさむ「ええ!!!本当!!じゃあ、彼女が言ったことが本当になったんだね!!」
なみ「うんうん!大学になるまでは、ずっと遠距離だったらしいんだけど。大学が近くだったの・・・っていうか、近くになるように大学を選んだんだけど・・・(笑)。それから、きちんとつきあい始めてついにね・・・。こんな恋もあるんだよね〜。なみも憧れちゃう・・・。」
おさむ「でも、本当に驚きだよ!!純粋な恋だね・・・。」
なみ「うん。・・・・・それに比べ、どこの誰だか知らないけど、女女〜って追いかけてるバカもいるけど・・・本当にえらい違い・・・きゃっ!!冷たーい!!なに!??」
アキラ「どこの誰とは誰のことや!!」
なみ「こらー!人の話盗み聞きしてたな!!どこのだれ??そこにいるバカガエルに決まってる・・・キャッ!!やったなーー!!」
アキラ「へへ〜んだ、ここまでおいで〜だ〜!」
なみ「こらー!待てー!!おさむー!なにしてるのよ〜!!早く応戦してよ!!」
おさむ「は〜い・・・そんな恋もあるんだよね・・・・。」(つづく)

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